牛肉について
牛肉は、その味わいと特有の風味が好まれて、もっとも人気のある食肉です。
牛肉に含まれるおもな栄養素は、たんぱく質と脂質を筆頭に、鉄や亜鉛(あえん)をはじめとするミネラルも豊富で、ビタミンBの一種であるナイアシンなども含まれています。
肉質にはさまざまな要素がある
お店にならんでいる牛肉は、味や柔らかさの違いで価格がずいぶん違います。この価格の基準となるのが肉質です。
出荷された牛肉は、専門家の厳しい目によって肉質のランキングが決められます。
肉質は、脂肪交雑(肉と肉の間にどれだけ脂肪が入っているか)、肉の色、肉のしまりおよびきめ、脂肪の色、質などで判定します。
とくに脂肪交雑は、肉のうまみや柔らかさと密接に関わっているため、肉質を判定するうえで重要です。
日本で飼育されている肉用牛のうち、もっとも肉質が優れているとされているのは黒毛和牛とされています。
優れた肉質と価格競争力から、今日では日本の肉用牛飼育の振興の旗頭として注目されています。また乳用牛と黒毛和種の交雑種(F1)の生産も行われています。
肉質の判定方法
肉質の判定は、牛の第6-7肋骨間のピースで行います。公正な判定ができるように、脂肪交雑、肉色、脂肪色については、プラスチック製の基準が作られていて、これに従って判定されています。
脂肪交雑については、どれだけの脂肪が交雑しているか、どれくらいち密に交雑しているかについて12段階の基準(BMSナンバー=Beef Marbling Standard:牛脂肪交雑標準)があります。
また、肉色(BCSナンバー=Beef Colour Standard)および脂肪色(BFSナンバー=Beef Fat Standard)については7段階の基準が設定されています。
肉質等級
項目 | 脂肪交雑 | 肉の色沢 | 肉のしまり・きめ | 脂肪の色沢と質 |
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等級5 | 胸最長筋ならびに背半棘筋および頭半棘筋における脂肪交雑がかなり多いもの | 肉色および光沢がかなりよいもの | しまりはかなりよく、きめがかなり細かいもの | 脂肪の色、光沢および質がかなりよいもの |
等級4 | 胸最長筋ならびに背半棘筋および頭半棘筋における脂肪交雑がやや多いもの | 肉色および光沢がややよいもの | しまりはややよく、きめがやや細かいもの | 脂肪の色、光沢および質がややよいもの |
等級3 | 胸最長筋ならびに背半棘筋および頭半棘筋における脂肪交雑が標準のもの | 肉色および光沢が標準のもの | しまりおよびきめが標準のもの | 脂肪の色、光沢および質が標準のもの |
等級2 | 胸最長筋ならびに背半棘筋および頭半棘筋における脂肪交雑がやや少ないもの | 肉色および光沢が標準に準ずるもの | しまりおよびきめが標準に準ずるもの | 脂肪の色、光沢および質が標準に準ずるもの |
等級1 | 胸最長筋ならびに背半棘筋および頭半棘筋における脂肪交雑がほとんどないもの | 肉色および光沢が劣るもの | しまりが劣りまたはきめが粗いもの | 脂肪の色、光沢および質が劣るもの |
豚肉について
豚肉は、日本人がいちばんよく食べている肉類で、その消費量は牛肉の約3倍になります。
豚肉は牛肉と比べ約10倍のビタミンB1が含まれています。ビタミンB1には糖質の代謝や神経の働きに関係しているので、精神が安定し疲労回復に効果が期待できます。
豚は世界で多品種があり、その数の内約30種類が食用豚として飼育されています。
枝肉規格
枝肉の市場での取り引きは、背骨を中心にして左右に引き割いた枝肉半丸のままで行われます。日本食肉格付協会が枝肉取引規格を決め、格付け業務にあたっています。
規格は、品種・年齢・性別には関係なく定められた判定表および取引規格にもとづいて、極上・上・中・並・等外に分けられます。これに枝肉のつりあい、肉付き、脂肪の付着、仕上げなどの外観と、肉のきめ・しまり・色沢、脂肪の質と光沢、脂肪の沈着などの程度を総合して等級を判定します。
豚枝肉取引規格
等級 | 重量および 背脂肪の厚さの範囲 |
肉質 | |||
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肉のしまり・きめ | 肉の色沢 | 脂肪の色沢と質 | 脂肪の沈着 | ||
極上 | 皮はぎ73kg以上81kg以下 湯はぎ79kg以上87kg以下 1.5㎝以上 ~ 2.1㎝以下 |
しまりはとくによく、きめが細かいもの | 肉色は、淡灰紅色で、鮮明であり、光沢のよいもの | 色白く、光沢があり、しまり・粘りともにとくによいもの | 適度のもの |
上 | 皮はぎ68kg以上83kg以下 湯はぎ74kg以上89kg以下 1.3㎝以上 ~ 2.4㎝以下 |
しまりはよく、きめが細かいもの | 肉色は、淡灰紅色でまたはそれに近く、鮮明で光沢のよいもの | 色白く、光沢があり、しまり・粘りともによいもの | 適度のもの |
中 | 皮はぎ63kg以上88kg以下 湯はぎ69kg以上94kg以下 0.9㎝以上 ~ 3.0㎝以下 |
しまり・きめともに大きな欠点のないもの | 肉色・光沢ともにとくに大きな欠点のないもの | 色沢普通のもので、しまり・粘りともに大きな欠点のないもの | 普通のもの |
並 | 皮はぎ63kg未満88kg超過 湯はぎ69kg未満94kg超過 背脂肪の厚さは枝肉重量による |
しまり・きめともに大きな欠点のあるもの | 肉色は、かなり濃いかまたは過度に淡く、光沢のよくないもの | やや異色があり、光沢も不十分で、しまり・粘りともに十分でないもの | 過少かまたは過多のもの |
等外 | 1)以上の等級のいずれにも該当しないもの 2)外観または肉質のとくに悪いもの 3)黄豚または脂肪の質のとくに悪いもの 4)牡臭その他異臭のあるもの 5)衛生検査による割除部の多いもの 6)いちじるしく汚染されているもの |
牛の部位
サーロイン | ステーキ用の肉として有名で牛肉の中では最高の肉質です。やわらかく霜降りが多いのが特徴です。ステーキほもちろんのことですが、しゃぶしゃぶ、すき焼き、そしてローストにも適しています。 |
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ヒレ | とてもやわらかく脂肪が少ないのが特徴です。1頭の牛からほんのわずかしか取れずサーロイン、ロースと並ぶ高級部位です。ステーキ、ローストなどに適しています。ヒレは焼きすぎないのがおいしく食べるコツです。 |
らんいち | やわらかい赤身肉。あっさり味で比較的いろんな料理と愛称がよい肉です。中でも赤身のステーキ、ローストに適しています |
リブロース | とてもやわらかく霜降りが多い肉です。きめの細かい肉質で旨味もあります。リブロース、しゃぶしゃぶ、すき焼き、ローストに適しています。 |
かたロース | 肩に位置するロースです。きめも細かくやわらかいのが特徴です。ステーキ、しゃぶしゃぶ、すき焼きなどに適しています。 |
かた | 両肩のかたロースを覆うように位置します。よく運動する部分なので筋肉が多く、風味がよい赤身の肉です。 鉄板焼き、すき焼き、炒め物などに適しています。 |
ばら | あばら骨についた肉です。胸の方をかたばら、腹の方をともばらと呼びます。 赤身と脂肪が薄い層となって交互に重なっているのが特徴で、三枚肉とも呼ばれています。 カレーやシチューなどの煮込む料理、また炒め物に適しています。 |
しんたま | 後ろ足の付け根を構成する部分で、やや硬い肉ですカレー、シチューなどの煮込み料理に適しています。 |
もも | 後ろ足の付け根の部分です。内側をうちもも、外側をそとももといいます。そとももはうちももより少し硬めです。赤身中心でカレー、シチューなどの煮込み料理、またひき肉に適しています。 |
すね、くび | 名前のとおり牛のすねと首にある肉です。どちらも筋が多く非常に硬い肉です。しかし、肉の味は濃厚でおいしいです。すねから作るひき肉は最高級です。煮込み料理やスープに使います。 |
タン・テール・内臓
タン | 舌です。下ゆでしてザラザラした皮をむいてから薄切りにして焼肉用にされることが多いのですが、 じっくり煮込むと柔らかくなり独特の風味があるのでタンシチューにするのもおいしいです。 |
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テール | 尾の部分です。アクを取りながら5時間以上煮込む必要がありますが、 軟骨がゼラチン化して柔らかくなり大変おいしいスープがとれます。 シチューやスープで。韓国料理のコムタンも忘れられません。 |
ハラミ | サガリと区別しないで売られる事もあります。横隔膜の一部で柔らかく脂肪も豊富で濃い味があります。 安くて美味しいということで、焼肉屋で人気があります。 |
サガリ | 横隔膜の一部で、ハラミよりも肋骨に近い厚い部分です。赤身に適度に脂肪が入り柔らかいのでお勧めです。 |
ハツ | 心臓。固くてコリコリとした独特の歯ざわりがあります。あまりクセは無く固いが食べやすい。焼肉屋で。 |
ミノ | 牛に4つある胃の一番目、一番大きな胃です。クリーム色で固くゴムのような歯ごたえ。クセが無く食べやすい。 焼肉屋で。 |
ハチノス | 二番目の胃で、蜂の巣状の筋があります。独特の風味と歯ごたえがありたいへんおいしい。 スープや炒めもので。中華、韓国、フレンチ、イタリアンなど色々な料理に使われています。 |
マメ | 腎臓です。匂いにクセがあるので日本ではあまり好まれていませんが、 ヨーロッパで濃い味付けのソテーにしてよく食べられています。仔牛(ヴィール)のマメのほうがクセがなく美味。 |
豚の部位
ヒレ | 豚肉では最もきめが細かくやわらかい部分です。脂肪が少ないのであっさりとしています。ソテー、テキかつ、ロースト、焼き豚に適しています。 |
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ロース | やわらかく、良い肉には牛肉のような霜降になっているものもあります。 肉の色は淡く、味には風味があります。ソテー、テキかつ、ロースト、鉄板焼き、すき焼きなどに向いています。 |
かたロース | 肩に位置するロースです。網状の脂肪で筋肉が包まれており、表面に帯状の脂肪がついていて、赤身との境に筋があります。中間的な肉質の風味とやわらかさを持っています。テキかつ、ロースト、鉄板焼き、すき焼きなどに向いています。 |
ばら | 三枚肉とも呼ばれます。脂肪が多く安価ですがこってりとした味わいを持ち用途も多い肉です。角煮、カレー、シチュー、焼き豚、酢豚、炒め物などに向いています。 |
もも | うちもも、そともも、しんたまなどが含まれ、やわらかさにばらつきがあります。やわらかさの目安として色の薄いがあります。一般にやわらかいものは薄い色をしています。ソテー、網焼き、ロースト、テキかつ、ひき肉料理などに適しています。 |
すね | 色が濃く硬い部分です。長く煮こむことによりやわらかくなります。煮こみ料理、ひき肉などに向いています。 |